なぜ「商用車こそEV」がふさわしいのか? 走るほど広がる燃料代の差と、積み上がるメンテナンス費の差が生む経済合理性とは?

走行距離が長く、稼働率の高い商用車では、一定の条件がそろえば電気自動車(EV)への切り替えによる経済効果が出やすくなります。1kmあたりのコスト差はわずかでも、年間で数万kmを走る事業用車両では、その差が燃料代でもメンテナンス費でも大きな金額となって積み上がります。
ここでは商用バンの定番であるトヨタ・ハイエースと、eフリートが扱うEVバン「Folofly F11VS」を比べながら見ていきます。

01燃料代:1kmの差が、走った分だけ積み上がる

ハイエースの燃費は、グレード、駆動方式、積載状況、走行環境によって変わりますが、ユーザー投稿型の給油記録サイトでは、ガソリン車で8km/L前後、ディーゼル車で10km/L前後の報告も多く見られますが、ここでは比較用の試算条件として、ガソリン8km/L、軽油10km/Lを置きます。

一方のF11VSは、フォロフライ公式サイトで一充電走行距離479km、駆動用バッテリー総電力量82.88kWhとされており、単純計算では約5.8km/kWhです。ここでは実使用時の余裕を見込み、試算条件として5km/kWhで計算します。

EVは、拠点で夜間に普通充電できる運用であれば、外部の急速充電に頼るより電力コストを抑えやすくなります。例えば、東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lは主にオール電化住宅向けの料金プランですが、同プランでは夜間時間帯の電力量料金が27.86円/kWhとされています。
実際の電気料金は契約プラン、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などで変わるため、ここでは試算条件として28円/kWhで計算します。

以上の条件で1kmあたりの走行コストを比べると、表1のとおりです。国土交通省の資料では、車両総重量8トン未満の事業用貨物車の年間平均走行距離は約3.9万kmとされています。
配送など稼働日数の多い車両では、平均を大きく上回る運用例もあります。走った分だけ、差は表2のとおり積み上がっていきます。

※燃料価格は、資源エネルギー庁「石油製品価格調査」のうち、給油所小売価格調査をもとに、同一調査日の全国平均価格を用いています。同調査は原則として毎週月曜日に調査し、水曜日に公表され、2004年4月以降は税込価格です。

表1:1kmあたりの走行コスト(試算)

前提:レギュラー169.8円/L・軽油159.2円/L〈資源エネルギー庁 2026年6月29日調査の全国平均〉、電気28円/kWh〈東京電力EP スマートライフS/Lの夜間単価27.86円/kWhを参考にした試算。実料金は契約内容や各種調整額等で変動〉/ハイエース ガソリン8km/L・軽油10km/L、F11VS 5km/kWh

項目ハイエース(ガソリン)ハイエース(軽油)F11VS(EV)
単価169.8円/L159.2円/L28円/kWh
燃費・電費(試算条件)8km/L10km/L5km/kWh
1kmあたり走行コスト約21.2円約15.9円約5.6円

※単価は調査日時点の全国平均、燃費・電費・電気料金は試算条件です。実際の費用は契約や走行条件で変わります。

表2:年間走行距離別の燃料・電力費(試算)
年間走行距離ハイエース(ガソリン)ハイエース(軽油)F11VS(EV)
3万km約63.7万円約47.8万円約16.8万円
5万km約106.1万円約79.6万円約28.0万円
7万km約148.6万円約111.4万円約39.2万円

※本表の金額は試算です(燃費・電費・電気料金は試算条件)。実際の差額は燃料価格、電気料金、燃費・電費、積載状況、充電方法によって変わります。

年5万km走行の試算では(燃料・電力費の差) F11VSはガソリン車より約78万円、軽油車より約52万円低くなります

02この10年で上がった燃料費と電気代。それでも電気代の上昇率は比較的緩やか

燃料代と電気代の差は、今後の原油価格、為替、電源構成、燃料費調整額、政策支援などによって変わります。ただし、走行距離の長い車両ほど、燃料・電力の単価差が年間コストに反映されやすいことは確かです。
資源エネルギー庁などの公表資料をもとに、2016年ごろと2026年6月末時点を概算で比べると、レギュラーガソリンはおおむね4割前後、軽油は5〜6割程度上昇したと見ることができます。
電気料金も上昇しており、家庭向け低圧料金の目安では3割前後の上昇と見ることもできます。ただ、ガソリン・軽油に比べると上昇率は穏やかです。

※上記の上昇率は公表資料をもとにした概算で、採用する単価や期間、電力会社・契約プラン、燃料費調整額、再エネ賦課金、政策支援の有無によって変わります。

グラフ1:ガソリン・軽油・電気の価格上昇(2016年=100の指数、概算)
ガソリン・軽油・電気の価格上昇(2016年=100の指数、概算)。2016年を100とすると、2026年6月末時点で軽油+5〜6割、ガソリン+4割前後、電気+3割前後。

出典:燃料価格は資源エネルギー庁「石油製品価格調査」、電気料金は資源エネルギー庁などの公表資料をもとにした概算。電気料金は家庭向け低圧料金の目安であり、契約種別や電力会社により変わります。2022年前後は電気も一時的に高騰。

この10年の価格上昇(概算)
燃料・電力2016年ごろ2026年6月末時点上昇率(概算)
ガソリン(レギュラー)約120円/L約170円/L4割前後
軽油約100円/L約159円/L5〜6割程度
電気(家庭向け低圧)約24円/kWh約31円/kWh3割前後

※燃料価格は資源エネルギー庁の給油所小売価格調査、電気料金は資源エネルギー庁等の公表資料をもとにした概算。採用する月次・年平均・補助反映の有無や、電力会社・契約プランにより数値は変わります。

03修理・メンテ:構造がシンプルな分、整備項目を抑えやすい

EVはエンジンを持たないため、エンジンオイルやオイルフィルター、点火系、吸排気系、排出ガス浄化装置など、内燃機関ならではの整備項目が不要になります。
さらに回生ブレーキ(モーターの抵抗で減速し、そのとき発電するしくみ)を多く使える運用では、機械式ブレーキの使用頻度が減り、ブレーキパッドの摩耗を抑えやすい傾向があります。

こうした構造の違いから、EVは定期メンテナンス費を抑えやすい傾向があります。ただし、タイヤ、ブレーキフルード、冷却系、12V補機バッテリー、車検・法定点検などはEVでも必要で、メンテナンスフリーではありません。
それでも整備項目が少ない分、整備にともなう車両の停止を抑えやすいことは、稼働率を重視する商用の現場で利点になります。

表3:おもな整備項目の比較
項目エンジン車EV
エンジンオイル・フィルター定期交換が必要不要
フューエルフィルター(燃料フィルター)交換が必要不要(燃料系なし)
点火系(点火プラグなど)交換が必要不要
タイミングベルト交換が必要な車種あり(チェーン式は除く)不要
エンジン補機ベルト類点検・交換が必要不要(エンジン補機ベルトなし)
吸排気系・排出ガス浄化装置整備対象非搭載
多段AT関連のオイル定期交換が必要な場合あり多段ATは非搭載。減速機など駆動系は車種ごとの指定に従う
冷却水(クーラント)定期交換が必要エンジン用は不要。バッテリー等の冷却液は車種の指定に従う
ブレーキパッド通常どおり摩耗回生ブレーキで摩耗を抑えやすい傾向
ブレーキフルード必要必要
12Vバッテリー(補機用)定期交換が必要必要(EVも搭載)
車検・法定点検必要必要(動力源を問わず同じ)

04こんな運用と相性がよい

F11VSのような商用EVは、1日の走行距離が350km未満で、夜間は駐車(充電)する運用と非常に相性が良いといえます。

導入のご相談・お見積もり

1トンEVバン「F11VS」の導入可否や実質負担額は、年間走行距離や充電環境によって変わります。
しかし、事業者の多くで、燃料代とメンテナンス費の両面から経済合理性が見込めます。
貴社の条件に合わせた試算とお見積もりを、eフリートが無料でご案内します。

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※本記事では、公式諸元・燃料価格・公的統計は「事実」、燃費・電費・年間の燃料電力費は「試算」、投稿型サイトなどは「参考情報」として扱っています。試算は、燃料価格・電気料金・燃費・電費・走行距離を一定の条件に置いた概算です。実際の費用は、契約電力、充電方法、積載状況、走行環境、整備契約、補助金の有無によって変わります。

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